悩みがあっても相談できる人がいないと、一人ぼっちな感じがして、余計に辛いですよね。
- 悩みを相談してもどうせ何も変わらない
- 友達に「重い」と思われたくない
- 相談してバラされるのが嫌
そんな風に思い、悩みを相談できずにいる中高生は多いです。
この記事では
- 「相談する人がいない」と悩んでいる人は自分以外にもいるの?
- 相談しづらい原因は何だろう?
- 相談できる人がいない時、どうしたらいいの?
と悩んでいる人のために
ということを、臨床心理士のあたるが分かりやすく説明します。
これを読めば、孤独感が少し和らぐよ
3人に1人が悩みを相談せずにいる
「相談する人がいない」という中高生は、少なくありません。
NHKが調査した「中学生・高校生の生活意識調査2022」では、次のような結果が出ています。
―悩みごとの相談相手―
第38問 あなたが悩みごとや心配ごとを相談するとしたら、主に誰に相談しますか。
次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇をつけてください。
引用元:中学生・高校生の生活意識調査2022|NHK放送文化研究所
全体(%) 中学生(%) 高校生(%) 1.きょうだい 7.2 7.0 7.2 2.友だち 40.3 38.8 42.6 3.先輩 1.8 1.8 1.6 4.学校の先生 3.7 4.5 3.1 5.お父さん 4.9 5.2 4.5 6.お母さん 31.5 32.6 30.2 7.その他 2.5 2.3 2.7 8.相談する人はいない 7.6 7.2 7.9 9.無回答 0.5 0.5 0.2
悩みごとの相談相手についての質問で、「相談する人はいない」と答えているのが、中学生で7.2%、高校生だと7.9%もいるのです。
13人に1人が「相談する人はいない」と答えているんだね
また、相談行動について中学生を対象に行われた研究では、次のような結果が出ています。
引用元:中学生の相談行動を抑制する要因の検討
群 男子 女子 悩み経験あり・相談あり群 23 (16.9%) 74 (30.7%) 悩み経験あり・相談なし群 38 (27.9%) 80 (33.2%) 悩み経験なし群 75 (55.1%) 87 (36.1%) Table2 各群の人数内訳
悩みがあっても誰にも相談しなかった中学生は、男女合わせると31%という結果になっているのです。
3人に1人くらいの中学生が悩みを相談していないんだね
つまり、悩みがあっても「相談できる人がいない」と感じていたり、実際に相談することはできない中高生は、多いのです。
相談できない理由はデメリットが怖いから
悩みがあっても相談できないのは、相談したときのメリットよりもデメリットを大きく評価しているからです。
上で紹介した、相談行動について中学生を対象に行われた研究で
悩みがあってもその悩みを相談しなかった悩み経験あり・相談なし群は、他の2群よりも相談によって得られる利益(悩みが解決する等)を低く評価し、相談することに伴うコスト(悩みを他の人にばらされる等)を高く評価することが明らかになった。
引用元:中学生の相談行動を抑制する要因の検討
という結果が出ているように、相談するときに考えられるコストが利益を上回り、相談をしにくくしているのです。
相談するときのデメリット(コスト)とは、例えば
- 相談したことを他の人にバラされる
- 相談しても相手に嫌なことを言われる
- 相談しても馬鹿にされる
- 相談しても真面目に聞いてもらえない
といったことです。
友達に「重い」って思われたくない
どうせ相談しても変わらないしな
そういう思いもあるよね
相談したときのメリット(利益)としてあげられるのは
- 相談すると悩みが解決する
- 相談すると気持ちが楽になる
- 相談をすると、よい意見やアドバイスをもらえる
といったことです。
悩みを相談できない中高生は、相談する自分をイメージしても、ポジティブな結果より、ネガティブな結果をイメージする人が多いのです。
相談しないで悩みを溜め込むと心が壊れてしまうかも
別に相談しなくても大丈夫だし
一人で抱え込みすぎると心がやられちゃうよ…
相談できる人がいないから、自分でなんとかするしかないと思っている人もいるかもしれません。
でも、悩みを一人で抱え込みすぎると、心の病になってしまうこともあります。
強烈なストレスがかかったり、長時間ストレスにさらされ続けたりすることは、心身をむしばむのです。
では、なぜストレスが心や身体に影響を与えるのでしょうか?
ストレスを感じると、脳では次のようなことが起きます。
- STEP1刺激に対して不安や恐怖を感じる
- STEP2扁桃体が興奮を始める
- STEP3扁桃体から視床下部へ情報が伝わる
- STEP4視床下部が脳の各部に指令を発する
- STEP5指令が副腎に伝わる
- STEP6副腎はストレスホルモンと呼ばれる物質を分泌する
副腎皮質からコルチゾールが、副腎髄質からアドレナリン、ノルアドレナリンというホルモンが出る。
- STEP7ストレスホルモンが血流にのって全身に回る
- STEP8興奮が起きる
血管をぎゅっと締め、緊張させる。
この脳のしくみによって、不安を感じたり緊張したり、頭やお腹が痛くなったりするのです。
そして、ストレスホルモンが頻繁に出されたり、活発すぎたりすると、脳は危険を回避しようとする「行動抑制システム」を作動させます。
不安が強くなると、脳が歯止めをかけ、行動を抑制するため
- やる気がなくなる
- マイナス思考に陥る
といったことが起きるのです。
このような偏ったストレス状態が続くと、うつ病や自律神経失調症などの病気に繋がっていくのです。
相談する人がいない時の4つの対処法
身近に相談できる人がいないとき、相談窓口や専門家を頼るという方法もあります。
中高生が無料で利用できる心の相談窓口を4つ紹介します。
学校のスクールカウンセラーを利用する
ほとんどの学校には、スクールカウンセラーがいます。
スクールカウンセラーとは、平成7年から公立学校に配置されるようになった、学校でカウンセリングをする人のことです。
公認心理師や臨床心理士、精神科医であることが多く、週1回程度、学校に来ています。
人間関係のことやジェンダーの問題、進路のこと、心身の不調など、どんな話でも聞いてもらえます。
スクールカウンセラーの利用のしかたについては、こちらの記事で詳しく説明しているので、参考にしてください▼
市町村にある心の相談窓口を利用する
それぞれの市町村では、相談内容によっていくつかの相談窓口が用意されています。
親との関係や自分の性格などについて悩んでいるのであれば、児童相談所。
心の健康や性病などについて悩んでいるのであれば、保健センター。
親の心身の状態について悩んでいるのであれば、精神保健福祉センター。
その他にも、若者が相談できる窓口や女性専用窓口、学校関連のことが相談できる窓口など、市町村によってさまざまな相談窓口があります。
窓口によって、精神科医や保健師、臨床心理士などの専門家に相談することもできます。
窓口の名称や相談できる専門家は市町村によって異なりますので、自分が住んでいる場所の情報を、ホームページなどで調べてみてください。
自分の悩みはどの窓口で相談したらよいのか迷ったら、こちらの記事を参考にしてみてください▼
無料のSNSカウンセリングを利用する
相談場所まで行って相談員と顔を合わせて話をすることに抵抗がある場合は、SNSカウンセリングを利用してみるのがよいです。
SNSカウンセリングとは、LINEや独自のチャット機能を使って相談できるサービスです。
団体にもよりますが、予約せずに相談できることが多いです。
次のような窓口が、SNSで相談できる若者向けの相談窓口です。
詳しくはこちらの記事で紹介しているので、読んでみてください▼
無料の電話相談を利用する
行政やNPO団体などが運営する、無料の電話相談窓口はたくさんあります。
電話が繋がりにくいこともありますが、24時間相談できる窓口もあるので、電話で相談したい場合は利用してみるとよいです。
こちらの記事では、厚生労働省「まもろうよこころ」のサイトで紹介されている相談窓口の一部を一覧にしてまとめているので、参考にしてください▼
悩みを話すだけでも心は軽くなる
相談しろっていうけどマジ意味ないから
そう思う気持ちも分かるよ
悩みを相談しても、ネガティブな結果ばかりがイメージされると、「相談しても意味がない」と思いますよね。
でも実は、話をするだけでも気持ちが楽になることがあります。
これを「カタルシス効果」といいます。
カタルシス効果は、心の中のモヤモヤを解放して、心の中が浄化されることで、気持ちが軽くなる効果のことです。
気持ちを吐き出すことで、心のモヤモヤをスッキリすることができるのです。
もし話す相手がいないときは、紙に書き出してみるのもよいでしょう。
とにかく気持ちを吐き出してみてください。
きっと考えが整理できたり、気持ちが楽になったりするはずです。
カタルシス効果については、こちらの記事でも説明しているので、読んでみてください▼
相談に抵抗があるなら「バーチャル談話室」でお喋りしよう
「相談できる人がいない」と悩みを抱えていて、無料の相談窓口に行くことも難しい場合は、当ブログの筆者が運営している「バーチャル談話室」に遊びに来てみてください。
「バーチャル談話室」は、バーチャルSNS「cluster」というアプリ内に作られた、メタバース上の談話室です。
中高生が気軽に集まれる場所を作りたいという思いから、開室しています。
バーチャル談話室は
という場所ですので、相談がなくてもお喋りをしに、気軽に来てくださいね。
あなたが来てくれるのを待ってるよ
バーチャル談話室について、詳しくはこちらの記事を参考にしてください▼
また、バーチャル談話室が開室していない時は、XやInstagramでいつでも相談できますので、気軽にDMをしてください。
まとめ:相談する人がいない時は無料相談を使ってみよう
「相談する人がいない」という中高生は13人に1人、悩みがあっても相談しない中学生は3人に1人います。
相談してもバラされるのではないか、嫌なことを言われるのではないかという思いが、相談をしづらくしています。
相談するのは勇気がいりますが、一人で悩みを抱え続けると、心の病に繋がる可能性もあります。
学校や市町村、SNSや無料の電話相談の窓口に相談してみる方法もありますが、相談することに抵抗がある場合は、バーチャル談話室に遊びに来てください。
「相談」でなくていいです。
一緒にお喋りしましょう。
きっと気持ちが軽くなりますよ。
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