【完全版】アダルトチルドレンとは?原因・特徴・治療法を専門家がまとめて解説

自分のこと

アダルトチルドレンという言葉を聞くと、子どもみたいな大人をイメージして、「アダルトチルドレンになりたくない」と不安に思いますよね。

でも、アダルトチルドレンは機能不全家族で育って大人になった人のことを指す言葉です。

例えば

  • 自分の気持ちがよく分からない
  • 「自分なんて」と自分に価値を感じられない

という悩みは、「アダルトチルドレン」が原因にあるかもしれません。

「アダルトチルドレン」が何かを知ることで、このような悩みも解消できます。

アダルトチルドレンには、回復に向けてできることがありますので、心配しなくて大丈夫ですよ。

この記事では

  • アダルトチルドレンってなに?
  • どういう人がアダルトチルドレンになるの?
  • アダルトチルドレンは直せるの?

という疑問を持っている人のために

  • 「アダルトチルドレン」は、自分が生きやすくなるための自分自身の捉え方
  • アダルトチルドレンの原因となる機能不全家族には、3つのパターンがある
  • アダルトチルドレンには、13の特徴と7つのタイプがある
  • アダルトチルドレンは7つのステップで回復できる

ということを、臨床心理士のあたるが分かりやすく説明します。

あたる
あたる

自分の生きづらさの原因が分かるよ

この記事を書いた人
\あたるです/

「アダルトチルドレン」は病名ではない

アダルトチルドレンは病名や症状ではなく、自分の生きづらさと向き合うために生まれた言葉です。

アダルトチルドレンの意味

アダルトチルドレンとは

  • adult children of alcoholics (アルコール依存症の親のもとで育って大人になった人)
  • adult children of dysfunctional family (機能不全家族で育って大人になった人)

という言葉からきています。

多くは機能不全家族で育って大人になった人という意味で使われますが、日本では「親の期待に縛られて育った子ども」という意味も含まれているようです。

あたる
あたる

機能不全家族については後で説明するよ

自分がアダルトチルドレンなのか早く知りたいという人は、こちらの記事でセルフチェックをしてみてください▼

\別記事でセルフチェックしてみる/

なぜアダルトチルドレンという言葉が生まれたのか

「アダルトチルドレン」という言葉は、病気の背後にある症状を理解するために生まれました。

例えば、うつ病を患っているとします。

うつ病は病名なので、治す対象として分かりやすいですよね。

でも、患者さんの症状の背後には「子どもの頃のトラウマ」の存在や、共依存的な対人関係などが隠れていることがあります。

そして、トラウマや対人関係のパターンに注目することも、うつ病の治療には必要なことです。

あたる
あたる

トラウマや共依存も治療の対象なんだよ

ただ、トラウマや対人関係のパターンには、病名がついていないので、治療対象としては分かりづらいです。

そのため、病気に隠れたそのような症状を理解するために「アダルトチルドレン」という言葉が生まれました。

つまり、自分がアダルトチルドレンだと自覚することで、子どもの頃のトラウマや共依存的な対人関係など、病気に隠れた症状とも向き合うことができるのです。

アダルトチルドレンの原因となる機能不全家族の3パターン

機能不全家族で育って大人になった人を「アダルトチルドレン」と言いますが、機能不全家族とは具体的に次のような家庭環境を指しています。

機能不全家族の3つのパターンについて、詳しくみてみましょう。

アルコールや薬物依存症を抱えている家族

アルコールや薬物に依存的であると、生活がままならなくなるので、誰かに頼る必要があります。

例えば、父親がお酒ばかり飲んでいると、母親が家族を支えなくてはいけなくなります。

母親としては、父親に頼られることで自分の存在価値を見出していることもあるでしょう。

しかし子どもからすると、父親は近づきたくない存在かもしれません。

あたる
あたる

いつ怒り出すか分からなくて怖いよね

また、一緒に困難を乗り越えてきた母親との関係が強くなり、子どもの自立を妨げてしまうこともあります。

もし、父子家庭で父親が依存症を抱えていれば、子どもが父親を支えることになるでしょう。

すると、家庭内で「子ども」として居ることはできず、父親のお世話をする「親」や「妻」の役割を担うことになります。

この役割逆転については、こちらの記事で詳しく説明しているので、読んでみてください▼

»子どもっぽい親が生まれる理由|心が不安定な親を支える子どもの役割

あたる
あたる

役割逆転は単純に子どもが親役割を担うだけじゃないんだよね…

そして、アルコールや薬物依存症を抱えている家族では、次の否認ルールが存在するといわれています。

  • しゃべるな
  • 信じるな
  • 感じるな

親が子どもに与える影響力は大きく、この否認ルールは子どもに

  • 本音が言えなくなる
  • 人を信じられなくなる
  • 感情が分からなくなる

という影響を与えます。

あたる
あたる

実際、誰も信じられないと話す子は多いよ

親の影響力については、こちらの記事でも説明しているので、読んでみてください▼

»親にされて嫌だったことが心に刻んだ傷…しまいこんだ痛みを癒やす方法

暴力や虐待のある家族

家庭内で暴力や虐待があると、緊張状態が続きます。

親から暴力を振るわれるだけでなく、親同士の暴力を見ることも怖いことです。

虐待には次の4つがあります。

  • 身体的虐待
  • 心理的虐待
  • ネグレクト
  • 性的虐待

親同士の暴力を見ることは、心理的虐待にあてはまります。

虐待のそれぞれの内容については、こちらの記事で詳しく説明しています▼

»未成年のみんなへ|親に叩かれるのは普通?虐待の4つの種類と相談方法をわかりやすく解説

あたる
あたる

緊張状態が続くと、心が壊れてしまうよ…

暴力や虐待がある家庭環境は、安心できる環境とはいえません。

「居場所がない」と感じる理由と安心できる心の居場所の見つけ方という記事でも紹介しているように、安心感は親子関係のなかで「受け入れられた」という体験によって育ちます。

安心感が育たないと、自分は受け入れてもらえない存在なのではないかと不安になったり、どこにいても居場所のなさを感じたりします。

また、暴力の恐怖を感じ続けると心が壊れてしまうので、何も感じないようにして自分を守るようになります。

すると、自分自身の本当の感情が分からなくなってしまいます。

つまり、暴力や虐待がある家庭環境で育つと

  • 自己肯定感が低くなる
  • 自分が自分である感覚がなくなる
  • 感情が分からなくなる

などの影響を受けるのです。

親の欲求が優先される家族

アルコール依存や虐待が存在しない家族でも、アダルトチルドレンが生まれることがあります。

その家族に共通しているのが、親の欲求や事情が優先されるということです。

本来子どもは、自分の欲求に大人が注目してくれて、その欲求が満たされることで成長します。

あたる
あたる

大人に気持ちを汲んでもらう体験が、子どもには必要なんだ

しかし、親の欲求が優先される家庭環境では、子どもは親の欲求を自分の欲求かのように思い込んで、親の欲求を満たそうとします。

例えば、親子で次のような会話をしていたとします。

母親「今日なにしよっか?」

子ども「うーん…」(公園で遊びたいな)

母親「あっ、ママお洋服見たいからデパート行こっか!」

子ども「うん、いいよ!デパート行きたい!」

この会話のなかで、子どもは公園で遊びたいと思っています。

しかし、母親は自分の買い物がしたいと言っています。

ここで公園に行きたいと子どもが言っても、その要求は通らないでしょう。

そのため、子どもはあたかも、自分がデパートに行きたいと思っていたかのように振る舞うのです。

あたる
あたる

親の気持ちを汲んで、自分の欲求をすり替えるんだね

このような家庭環境では、子どもは常にアンテナを張り巡らせて、親の欲求を汲まなくてはいけなくなります。

親の欲求どおりでないと、自分は無視されてしまうので、欲求を汲み間違えないように常に緊張することになるでしょう。

そして、親の欲求を優先される環境で育った結果

  • 自分がやりたいことが分からなくなる
  • 自分の意思で行動できなくなる
  • 自分の気持ちが分からなくなる

という影響を受けるのです。

親の欲求を汲むという意味では、離婚した親との関係でも、同じような影響が出ることがあります。詳しくは、こちらの記事を参考にしてください▼

»離婚した親に会いたくない人へ|別居親を嫌う3つの理由と自分の本心の見つけ方

アダルトチルドレンの13の特徴

教育学者のジャネット・G・ウォイティッツは、アダルトチルドレンの特徴として、次の13個を挙げています。

  • アダルト・チルドレンは何が正常かを推測する。
  • アダルト・チルドレンは物事を最初から最後までやり遂げることが困難である。
  • アダルト・チルドレンは本当のことを言ったほうが楽なときでも嘘をつく。
  • アダルト・チルドレンは情け容赦なく自分に批判を下す。
  • アダルト・チルドレンは楽しむことがなかなかできない。
  • アダルト・チルドレンは真面目すぎる。
  • アダルト・チルドレンは人と親密な関係を築きにくい。
  • アダルト・チルドレンは自分がコントロールできない変化に過剰反応する。
  • アダルト・チルドレンは他人からの肯定や承認を常に求める。
  • アダルト・チルドレンは自分は他の人たちと違っていると感じる。
  • アダルト・チルドレンは責任をとりすぎるか、責任をとらなすぎるかどちらかである。
  • アダルト・チルドレンは過剰に忠実で、たとえ無価値な人間関係であってもそれにしがみつく。
  • アダルト・チルドレンは衝動的である。他の行動が可能であると考えずに一つの行動に突っ走る。そのため、混乱、コントロールの喪失、自己嫌悪を招きやすい。その上、不祥事の後始末に過大なエネルギーを使う。
引用元:アダルト・チルドレン|ジャネット・G・ウォイティッツ著

詳しくはこちらの記事で分かりやすく解説しています▼

この記事には、自分の生きづらさの原因がアダルトチルドレンにあるかセルフチェックできるリストも紹介しているので、見てみてください。

機能不全家族が身体や心にもたらす影響

アダルトチルドレンは、機能不全家族を生き抜くために、心と身体を駆使しています。

そのため、身体を壊したり心の病気を患ったりすることもあります。

例えば、身体面への影響としては

  • 肩こり
  • 胃腸障害
  • アレルギー

があります。

子どもの頃から緊張状態のなかを生きてきたため、心だけでなく体にも力が入って凝り固まっているのです。

また、心への影響としては

  • うつ病
  • 不安神経症
  • パニック障害
  • 対人・社会恐怖などの適応障害
  • 人格障害
  • 離人症や解離性障害を伴うPTSD
  • 摂食障害
  • 自傷行為
  • アルコール、薬物、ギャンブルの依存症

という症状を出現させることがあります。

自傷行為については、こちらの記事で対処法を紹介しています▼

»自傷行為で怒られる必要はない!自分を傷つけるのは心の応急手当だった

悩む高校生
悩む高校生

病気になるかもと思うと怖いよ…

あたる
あたる

必ず病気になるわけじゃないよ

これらの影響は、アダルトチルドレンなら必ず抱える問題というわけではありません。

身体や心に何か影響が出たら、アダルトチルドレンであることが原因になっている可能性があるということです。

さらに、中学・高校・大学生の時期であれば

  • 不登校
  • ひきこもり
  • 過食・拒食症
  • 境界性人格障害
  • 暴力

といったことが、アダルトチルドレンであることによって引き起こされることもあります。

こちらの記事にあるような「自分らしさ」が分からないという悩みを、より深く感じることもあるでしょう▼

»「自分らしさ」がわからなくなる理由【中学生・高校生向け】

大人になる準備段階のため、性の悩みを抱えることもあり、性的な関係によって自分に足りない何かを埋めようとすることもあります▼

»【誰でもいいから抱いて欲しい人へ】身体の関係を求める3つの理由

»パパ活をして何が悪い?「体を売るな」と言われる本当の理由

あたる
あたる

抱えている問題を理解するときに「アダルトチルドレン」という概念が役立つんだよ

アダルトチルドレンの7つのタイプ

アダルトチルドレンと言っても、すべての人が同じ特徴を持っているわけではありません。

機能不全家族のなかで、どのような役割を演じてきたかによって、性格や考え方、心の癖のタイプが違います。

アダルトチルドレンのタイプは専門家によって名づけが異なりますが、だいたい次の7つに分けられます。

  • ヒーロー(責任を負う子)
  • ロスト・チャイルド(忘れられた子)
  • プラケイター(なだめ役)
  • スケープゴート(問題児)
  • ピエロ(おどけ役)
  • ケアテイカー(世話役)
  • イネイブラー(支え役)

詳しくはこちらの記事で解説しています▼

はっきりと区別できるものではありませんが、どの要素を自分は強く持っているか知ることで、自分を理解することに繋がります。

自分がどのタイプにあてはまるのか、チェックリストもありますので、試してみてください。

アダルトチルドレンから回復する7つのステップ

アダルトチルドレンはさまざまな特徴や症状を持っています。

でも、どれも機能不全家族で生き延びるために獲得してきたものです。

あたる
あたる

自分を守るために身につけた術なんだよ

だから、アダルトチルドレンという鎧を一気に脱ぎ捨てる必要はありません。

次のステップを踏むことで、アダルトチルドレンは回復に向かうことができます。

心の回復7ステップ
  • STEP0
    家系図を書いてみる

    トラウマや依存症の問題が、自分だけに起きたことではないと知る

  • STEP1
    グラウンディング

    自分の気持ちを落ち着かせる方法を学ぶ

  • STEP2
    自分の過去という物語

    心が傷ついた体験と向き合う

  • STEP3
    過去の感情を探る

    心が傷ついた時に抱いた感情を探る

  • STEP4
    過去と現在をつなぐ

    過去のトラウマが今の自分にどんな影響を与えているか考える

  • STEP5
    誤った信念を書きかえる

    子どもの頃に身につけた人生の妨げになっている信念を書きかえる

  • STEP6
    新しいスキルを学ぶ

    子どもの頃に学び損ねた生きるうえで必要なスキルを学ぶ

  • STEP7
    人生のストーリーを描きなおす

    少し前の過去から未来の自分の姿を文章にしてみる

この回復ステップは、「アダルトチルドレン」概念の生みの親である、カウンセラーのクラウディア・ブラックは、『あなたの苦しみを誰も知らない』という本で述べているものです。

アダルトチルドレンの回復方法と、これらのステップの必要性については、こちらの記事で分かりやすく説明しています▼

まとめ:アダルトチルドレンという言葉が生きづらさを説明してくれる

アダルトチルドレンとは、機能不全家族で育って大人になった人を指しています。

自分の感情が分からなかったり、対人関係がうまくいかなかったりと、アダルトチルドレンは生きづらさを抱えています。

でもそれは、自分のせいではなく、過酷な家庭環境や親子関係のなかで生き抜くために身につけた「アダルトチルドレン」という鎧のせいです。

「アダルトチルドレン」という言葉は、さまざまな問題が「自分のせいではなかった」と気づかせてくれます。

まずは、自分がアダルトチルドレンだと自覚が自分を救ってくれます。

次の記事で、アダルトチルドレンの特徴を知り、自分はアダルトチルドレンなのか、セルフチェックしてみてください。

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