嫌なことがあったり、漠然とした不安を感じた時に、自分を傷つけると気持ちが落ち着きますよね。
でも、自傷行為が親や周囲の大人にバレると、「自分を傷つけるなんてやめなさい」と怒られることがあります。
そんなとき
- 自分のからだなんだからよくない?
- 自傷行為ってしちゃいけないの?
- 私のことなんてわかってないくせに
と思いますよね。
自傷行為は、つらい気持ちや心の傷を、自分でなんとかしようとした結果の行為です。
生きるためにしていることだから、怒られても納得できず落ち込んでしまいます。
この記事は、自傷行為で悩んでいる人のために
を臨床心理士のあたるが、分かりやすく説明します。
自分の心の傷を一緒にみてみよう
自傷行為はつらい環境を生きるための術
自傷行為には、自分の心の傷を手当しようとする意味があります。
つらい気持ちや強いストレスを自分でどうにかしようとする対処法の一つとして、自分を傷つけるという行動をとっているのです。
例えば、自傷行為をするのは、次のような時が考えられます。
- 過去の嫌な体験を思い出したとき
- 最近の辛い出来事で心がしんどいとき
自傷する目的は人それぞれですが
などがあります。
自分を傷つけるしかないほどしんどくて、自分なりに見つけたストレス対処法が自傷行為なのです。
だから、自傷行為が悪いわけではありません。
自傷はあなたが今生きるための術なのです。
ただ、自傷にも問題点はあります。
- 自傷の効果は一時的なもの
- 自傷はエスカレートしやすい
自傷によってつらい気持ちがやわらいでも、また少しすればつらい気持ちが湧いてきます。
自傷はつらい気持ちの原因となっているものを消すわけではないのです。
ストレスの根本は自傷じゃ解決しないもんね
また、自傷はエスカレートしやすく、慣れてくると、より深く、よりたくさん自傷するようになります。
繰り返し自傷をすることで、効果が感じられなくなってくるからです。
そして、命にかかわる自傷になることもありますし、自傷によってつらい気持ちがやわらがなくなることもあります。
そうすると、生きる術であったはずの自傷が「死」を呼んでしまうのです。
自傷行為を怒られると心が傷つく
怒られたらまた自傷しちゃう…
しんどくて自傷しているのに、自傷行為を責められるとさらに辛いですよね。
否定されているように感じて
- 自分が悪いんだ
- 自分には価値がないんだ
と感じてしまいます。
傷ついてさらに自傷しちゃうよね
また
- 「自分の体を大切にしなさい」
- 「親からもらった体を傷つけるな」
と言われると
- 自分の気持ちを受けて止めてもらえてない
- 自分と向き合おうとしてくれていない
と感じて「私のことなんて分かってくれないんだ」という気持ちが強まります。
たしかに、他人の体を傷つけてはいけないように、自分の体も傷つけるのはよくないのかもしれません。
でも、自傷しているのは、それが自分の体だからなのです。
自分の体を傷つけることで、心の痛みが身体の痛みに置き換わって心が楽になったり、ホッとしたりスッキリするような感覚が得られるから、自傷行為を繰り返すのです。
自傷によって脳内の内因性オピオイド(脳内麻薬)の分泌が高まるという研究もあるんだ
自傷行為をやめたいときの6つの対処法
自傷やめたくてもやめられない…
自傷行為がストレスの対処法になっているとはいえ、繰り返すことで「死」に近づいてしまうこともあります。
そのため、自傷をやめられるならやめたいと感じている人もいるでしょう。
ただ、自傷行為をやめたいと思っても、自傷以外に気持ちを落ち着かせる方法が分からず、なかなかやめられないですよね。
そこで、自傷行為ではない気持ちを落ち着かせる方法を6つ紹介します。
自分を傷つけたいと思ったときに、この方法を試すと、自傷行為をしないですむかもしれません。
自分に合う方法を見つけてみてね
赤いボールペンで手首に線を描く
普段リストカットをしていて、赤い血を見ることで落ち着くという人は、ボールペンで刺激を感じつつ赤いものを見ることで自傷と同じような効果が得られます。
保冷剤など冷たいものを握る
保冷剤や氷など、冷たいものを握ることで、痛み刺激と似た刺激を感じ、気持ちが落ち着くことがあります。
深呼吸などリラックスできる方法
「自分を傷つけたい」という気持ちを、深呼吸することで落ち着かせる方法です。
すぐに効果は出にくいですが、時間をかけて身に着けていけば、自分の気持ちをコントロールできるようになっていきます。
嫌なことを紙に書いて破る
気持ちを誰かに吐き出す代わりに、紙に書き出します。
紙に書くことで、自分の気持ちを言語化して知ることができます。
形が見えなかったつらい感情が、文字として見えることで、気持ちが整理されて少し楽になります。
さらにそれを破ることは、「傷つけたい」という衝動を発散できる方法です。
心理学者のジェームズ先生も、書くことで気持ちが楽になるって実験をしてたよ
音楽を聴いたり、絵を描いたりする
「自分を傷つけたい」という気持ちから注意を逸らして、別なことをするという方法です。
自分が好きで熱中できることをするとよいです。
音楽を聴いたり、絵を描いたり、映画を観たり…
ギターを弾いたり、ランニングをしたりするのもよいでしょう。
信頼できる人に話す
相談できる人がなかなかいないかもしれませんが、自傷を責めずに話を聞いてくれる人に、つらい気持ちを話すのも、代わりの方法になります。
言葉にすることで、自分の気持ちにも気づくことができ、さらにカタルシス効果(気持ちがスッキリする効果)も得られるかもしれません。
カタルシス効果については、こちらの記事を参考にしてください▼
まとめ:自傷行為を責めないで
自傷行為は怒られるようなことではありません。
つらい気持ちをなんとかしようとする、自分なりの対処法です。
ただ、自傷は一時的であり、エスカレートしやすいという問題があることも事実です。
だから、つらい気持ちを自傷として抱え込まず、自分の気持ちが吐き出せる場所を見つけましょう。
もし、気持ちを吐き出せる場所がない場合は、当ブログの筆者が運営するバーチャル談話室に遊びに来てください。
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