居場所がないと、孤独で寂しくて、心が疲れますよね。
「居場所がない」というのは、安心できる場所がないということです。
自分の家ですら安心できず、家族の機嫌を伺って、いつも緊張していると
「自分が自分でいられる場所はどこなんだろう?」
と思いますよね。
つまり、『ありのままの自分』を受け入れてもらえる場所に「居場所」はあります。
この記事では
- 家にも学校にも居場所がなくて、心が落ち着かない
- 居場所がないと感じるのはどうして?
- 居場所が欲しいけど、どこにあるの?
と悩んでいる人のために
ということを、臨床心理士のあたるが分かりやすく説明します。
「居場所」について寄せられた声も紹介するよ
居場所がない=安心できる場所がない
「居場所がない」というのは、安心できる場所がないということです。
「居場所がない」と感じるとき、次のような感覚になりませんか?
- 仲間に入れていない感じ
- 自分がそこに存在していない感じ
- 話が合わず分かってもらえない感じ
- 自分の意見が言えず気を遣う感じ
このような感覚をおぼえると、自分が受け入れられていないと感じて、居心地が悪くなります。
反対に、居心地が良い場所では
- 自分の素を出しても大丈夫な雰囲気
- 自分の存在を認められている感覚
- 何を言っても嫌われない安心感
を感じます。
つまり、居場所とは安心してありのままでいられる場所であり、「居場所がない」というのは、「安心できる場所がない」ということなのです。
居場所は安心できる場所ともいえるね
受け入れられたいという思いは当たり前の気持ち
でも「安心したい」「受け入れられたい」だなんて贅沢でしょ?
そう思うことは自然だよ。
受け入れられたいと思う気持ちは、誰でも持っている欲求です。
心理学者のマズローは、欲求5段階説で次のように言っています。
「食べたい、眠りたい」という欲求がある程度満たされれば、「安心して安全に暮らしたい」という欲求が出てきます。
「安心して安全に暮らしたい」という欲求がある程度満たされれば、「友達や家族、社会に受け入れられたい」という欲求が出てきます。
そのため、「安心できる場所が欲しい」「受け入れられたい」と思うことは、自然なことなのです。
どこにいても安心できない原因
なぜ安心できないの?
安心できる場所がないと感じる原因には、次のようなものが考えられます。
- 幼い頃から守ってもらえる環境がなかった
- 味方になってもらえなかったり、裏切られたりした経験がある
- 親に自分の気持ちを分かってもらえることが少ない
- 家庭内で暴力があり、家が安全でない
このような環境では、心の安心感が育ちません。
心の安心感は、赤ちゃんのときから育ち始めます。
赤ちゃんは不快なことや不安を泣いて知らせます。
赤ちゃんが泣くと親は抱っこをしたり、ミルクやオムツのお世話をしたりします。
親にお世話してもらうことで、不快や不安は取り除かれ、再び安心して眠ります。
赤ちゃんの頃の抱っこやお世話で、安心感が育ち始めるんだね
歩けるようになってからは、親から少し離れて遊んでいても、外の世界で不安なことがあれば、親のもとに駆け寄って安心をチャージします。
親が安全基地になっていることで、安心して周囲を探索することができるのです。
そして、言葉が理解できる頃には、自分の気持ちを分かってもらったり、自分のやることを応援してもらったりする経験により、「受け入れてもらえた」と感じることができ、安心感が育っていきます。
共感してもらうことが安心感に繋がるよ
しかし、不安定な家庭環境や自分の気持ちを否定されるような経験のなかでは、「受け入れてもらえた」と体感することが減ってしまいます。
そのため、心の安心感は育ちにくく、「何かあっても助けてもらえる」「自分の気持ちは受け入れてもらえる」という感覚が持てません。
その結果、人を信じることが難しくなり、どこにいても安心できなくなってしまいます。
家での安心感が育っていないと、他の場所でも安心できにくいんだね
小さい頃に家で安心して過ごせなかったと感じる人は、「アダルトチルドレン」という概念が役立つかもしれません。
こちらの記事にまとめているので、参考にしてみてください▼
中高生は安心できる心の居場所が欲しくなる
居場所がなくてもやっていけるかな?
居場所がなくて、どこにいても安心できない場合、緊張や不安な状態が続きます。
そのため、精神的に疲れてしまい、体調を崩したりやる気が起きなくなったりすることもあるでしょう。
少しも安心できないと心がやられちゃうよ…
特に中学生、高校生くらいの年代は、「自分」を探すために心の居場所が必要な時期ともいえます。
13歳から22歳の青年期は「自分は何者か」を模索する発達段階にあると、心理学者のエリクソンはいっています。
つまり、「自分らしさ」が何かを考え、「自分」を確立していく時期なのです。
「自分らしさ」について、もっと詳しく知りたい人は、こちらの記事を参考にしてください▼
「自分とはこういう人だ」ということを確立する過程で、今までの自分を一度壊したり、自分がなくなったりして、不安定になることがあります。
不安でどうしようもなくなることがあるよ
不安が大きくて自分ではどうすることもできないときに、安心できる場所もないとなると、心がつぶれてしまいそうですよね。
小さい子どものようにお母さんに駆け寄って安心をチャージすることもできないし、そんな風に親を頼ることも難しいでしょう。
そのため、「自分」を探す過程で出てくる不安を、少しでも軽くしてくれる「安心できる場所」が必要になります。
安全基地が、不安定な自分の心を支えてくれるのです。
安心できる心の居場所があれば、大きな不安は少し和らいで、再び「自分」を探す旅に出られます。
安心できる心の居場所の見つけ方
居場所は作れるの?
自分が安心できる心の居場所は、自分で探すことができます。
居場所は自分が安心できるかどうかがポイントです。
そのため、どういうときに安心できるかを考えてみましょう。
- 自分を守ってくれる姉といるときはホッとする
- おばあちゃん家の2階ではゆったりとした気持ちになる
- 鳩の鳴き声を聞くと心が落ち着く
心の居場所は「場所」に限らなくてもよいのです。
一緒にいる人が誰なのか、何をしているときなのかなど、安心できる場面は、「人」や「こと」からも見つけることができます。
一人でいるときが安心するという人もいるかもね!
「人」「場所」「こと」の面から、安心できる心の居場所を考えてみましょう。
存在を認めてくれる人を見つける
自分を否定せず受け入れてくれたり、味方でいてくれる人は誰もいませんか?
認めてもらえてるって分かると安心感も増すよね
自分の周りにはいないと思うのであれば、新しいコミュニティに入ってみるのもいいでしょう。
趣味の集まりや、友達の友達、SNSでの繋がり、バイトを始めてみるなど…
ただ、新しい場所は緊張しますし、どう思われているのか不安になって、結構なエネルギーを使います。
今は自分を認めてくれる人がいないと感じているかもしれませんが、実際に相手がどう思っているかは相手にしか分かりません。
また、家や学校以外での出会いが、今後たくさんあります。
存在を認めてくれる、安心できる人と出会えるように、少し勇気を出して人との距離を縮めてみてください。
自分が好きな場所に行く
行くと気持ちが落ち着く場所はありますか?
- 田んぼや森のなか
- 図書室や学校の部室
- 近所の公園
「気づいたらここに来てるなぁ」という場所は、自分が安心できる場所なのかもしれません。
誰もいない夜の公園が好きという人もいるでしょう。
そこに「人」はいないかもしれませんが、自分が安心できるのであれば、「心の居場所」なのです。
ホッとできることをする
自分がホッとできることは何ですか?
- 温かいココアを飲む
- 大きく深呼吸をする
- 好きな音楽を聴く
- 手触りのいいタオルを触る
好きなことをして安心できるのであれば、そこに「心の居場所」があります。
推し活や教会に通うこと、趣味に打ち込むことなども「居場所」になり得ます。
私の場合は、鳩の鳴き声を聞くと、心がゆったりとして落ち着きます。
小さい頃、山の中にあるおばあちゃん家の2階で、鳩の鳴き声を聞きながらゴロゴロしていたからですかね?
都会ではあまり聞くことがないかもしれませんが、鳩を見つけたら少し立ち止まって、鳴き声を聞いてみてください。
新しい居場所「バーチャル談話室」に遊びに行ってみる
- 安心できる「人」「場所」「こと」が思い当たらない
- とにかく自分の「居場所」が欲しい
ここまで読んできて、安心できる場所がピンとこなかった人は、筆者であるあたるが運営している「バーチャル談話室」に遊びに来てみてください。
バーチャル談話室は
という場所です。
詳しくはこちらの記事を読んで、ぜひ遊びに来てください。
お話できるのを楽しみにしてるよ
家に居場所がなかった人の「安心できる居場所」
みんなはどこを「居場所」としているの?
他の人はどこを「居場所」としているのか気になりますよね。
今回、昔は子どもだった20代~60代の30人に「居場所」についてのアンケートをとってみました。
その結果8割以上の人が、現在安心できる居場所を「自宅」と回答していました。
しかし、子どもの頃は家が安心できなかったと回答した人が13人いました。
家が安心できる場所ではなかった人たちが、どこに居場所を作っていたのか、寄せられた回答の一部を紹介します。
自転車で走る時が安心できた
子どもの頃、私の両親は子育てや仕事に忙しくピリピリしている事が多かったです。
その為、少しの事で怒られたりして家の中でも緊張感が抜けませんでした。
そのようななか、家の外を自転車で走る時が1番安心出来ました。
どこまでもスイスイ走って行ける事や風を感じられる気持ち良さで心が癒されました。
家や学校で嫌なことがあった時は、よく自転車であてどもなく走っていました。
自転車は自分1人だけで走っており、その間誰とも関わらなくてよかったから安心できました。
スイスイ走って気持ちが良かった事や、運動によって肉体的疲労を得て精神的疲労とのバランスが取れていたのも良かったと思います。
(30代 女性)
図書館が安心できる場所だった
子どもの頃は、何もしていなくても八つ当たりをされることが多く、人がいると緊張してしまうため、家は安心できませんでした。
私にとっては図書館が安心できる場所でした。
その理由は、人から話しかけられたりせず、静かな空間が好きだったからです。
(30代 女性)
学校や部室では安心できた
父はアルコール依存症、母は過干渉。
子どもの頃、両親は顔を合わせれば喧嘩をしていました。
トラブルがあっても味方になってくれることもなく、両親に抗議や意見をしたり、主張すれば「じゃあ、出ていけば?」と言われていました。
今思うと両親とも極度に共感性が低かったのだと思います。
正直、家が安心できる場所とは思いませんでした。
その反面、学校や部室は、やることが明確で、やるべきことに打ち込んでいられました。
両親の喧嘩を聞かずに済むし、両親の機嫌や顔色を見て、自分の態度を変えなくてよいのは心が落ち着いたし、安心できました。
特別に学校や部室が安心できる、楽しいと感じていたわけではなく、自宅でなければ安心できると感じていたのだと思います。
(30代 男性)
祖父母の家が安心できる場所だった
子どもの頃は家族仲が悪く、いつも怒鳴り声が聞こえており、家は安心できる場所ではありませんでした。
私にとっては、祖父母の家が安心できる場所でした。
やさしい祖父母がいつも温かく迎えてくれました。
祖父が百貨店まで食材を買い出しに行ってくれて、祖母が丁寧な料理を作ってくれました。
(40代 女性)
家以外の安心できる場所一覧
他には家以外の安心できる場所として、次のような回答がありました。
- 塾
- 近所の公園
- 近所に住む友人の家
- 近くの野原
- 近所のゲームセンター
家以外にも安心できる場所がなかった
今回のアンケートで、子どもの頃は家が安心できなかったと回答した13人のうち、家以外にも安心できる場所はなかったと答えた人は4人いました。
そのなかでは
- 子どもなので家以外に行くことができなかった(50代 女性)
- どこに行っても近所の目が気になった(40代 男性)
- 人が怖くて誰も信じられない状況だった(40代 女性)
といった声がありました。
みんな今は安心できる場所が見つかっているよ
まとめ:安心できる心の居場所を見つけるために自分の「安心」を探ろう
居場所とは、安心できる場所です。
過去の経験から、安心感が得られず「居場所がない」と感じている人もいると思います。
でも居場所がないと、不安な気持ちが続いて精神的に疲れてしまいます。
「場所」に限らず、自分を受け入れてくれる人や、気持ちが落ち着く場所、心がホッとする好きなことなどから、「安心」を探してみましょう。
新たな「居場所」を見つけたい人は、子どもから大人まで利用できる「こども食堂」に行ってみるのもいいでしょう▼
また、高校には「居場所カフェ」があるところもあります。
まだ数は少ないですが、進路選択の参考にしてみてください。
すでに高校生で、自分の高校に居場所カフェがある人は、利用してみるのもいいですね▼
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