「自分は友達からどう思われてるのかな?」
「集団に入るとみんなの視線が気になる…」
周りの目が気になり始めると、本当の自分が出せなくなったり、不安でしかたなくなったりしますよね。
この記事では
- 周りの目が気になって生きづらい
- 他人の視線を意識しすぎて夜も眠れない
と悩んでいる人のために
ということを、臨床心理士のあたるが分かりやすく説明します。
集団での生きづらさが変わるよ
学校で周りの目が気になる原因
周りの目が気になる原因としては、次の4つが考えられます。
原因は一つとは限らないよ
生まれつき敏感な気質をもっている
小さい頃から「繊細」といわれることが多い人は、刺激に敏感で、周りの目が気になりやすい性格なのかもしれません。
この特性を捉えやすくする概念として、HSPという言葉があります。
HSPとは、生まれつき敏感な気質を持った人のことをさします。
HSPは
- 情報を深く処理する
- 人の表情や社会の変化に敏感
- 感受性が豊か
- 些細なことにも気づく
という特徴があります。
そのため
- 人前で話すときや大事な試験で過度に緊張する
- 人混みが苦手で疲れやすい
- 評価される場面で実力を発揮できない
といったことで困ることがあります。
「周りの目が気になる」というのも、人の表情の変化に敏感だったり、些細なことにも気づける繊細さが影響しているのかもしれません。
HSPについては、こちらの記事で詳しく説明しているので、参考にしてみてください▼
過去のトラウマ体験が影響している
人前で失敗した経験や怒られた経験、いじめられた経験などがあると、不安が高まり周りの目が気になるようになります。
例えば
- 授業での発表がうまくできず、みんなに笑われた
- 友達と話している途中、言葉が詰まり、バカにされた
- 自分の悪口を聞いてしまった
といった経験が、「自分はおかしいのではないか」「嫌われてるのではないか」と不安にさせ、周りの目が気になって、何か話したり動いたりすることを難しくさせます。
いじめられた経験や恐怖を感じた被害体験なども、トラウマになることがあります。
被害を受けたことについて「自分が悪いんだ」と、自分を責める気持ちになっているかもしれません。
でも、悪いのはあなたを傷つけた相手です。
だから、自分を責めたり、自分の価値を低く見積もったりする必要はありません。
トラウマについては、こちらの記事で詳しく説明しているので、参考にしてみてください▼
自分に自信がもてない
自分に自信がもてないと、他人の視線をネガティブなものに感じて、周りの目が気になります。
この自信のなさは、小さい頃から育まれてきた安心感が関係しています。
心の安心感は、赤ちゃんのときから育ち始めます。
赤ちゃんが泣いたときに、親が抱っこをしたりオムツを替えたりミルクをあげたりすると、不快や不安が取り除かれ、安心感に繋がります。
そして成長していくなかで
- 受け入れられた
- 認めてもらえた
- 大事にしてもらえた
という経験や感覚が、安心感を育み、「自分は存在していていいんだ」という自信に繋がるのです。
勉強や運動が苦手だから自信がもてないというわけじゃないんだよ
しかし、家庭環境が不安定だったり、小さい頃から気持ちを受け止めてもらう経験が少ないと、安心感がなく、自分に自信がもてなくなることがあります。
そのため
「自分なんて迷惑なんじゃないか」
「きっとみんな自分のことを嫌ってるんだ」
などと周りの目をネガティブに捉え、さらに落ち込んでしまうのです。
小さい頃に家で安心して過ごせなかったと感じる人は、「アダルトチルドレン」という概念が役立つかもしれません。
アダルトチルドレンについては、こちらの記事にまとめているので、参考にしてみてください▼
中学生・高校生の時期の発達課題
中学生・高校生は、「自分らしさ」を探る時期です。
少し難しい言葉でいうと、「アイデンティティを模索する時期」といえます。
心理学者のエリクソンは、13歳から22歳を青年期とし、その時期の発達課題を「アイデンティティ対アイデンティティ拡散」であるとしています。
つまり、自分中心で生きてきた子ども時代から、
- 周りは自分をどう見ているのか?
- 自分は世の中から見てどういう人間なのか?
を考え始め、大人になる準備をしています。
そのため、自分を客観的に捉えようとし、周りの目に敏感になるのです。
「自分らしさ」の悩みについては、こちらの記事でも詳しく説明しているので、読んでみてください▼
また、中学校は小学校とは環境が変わり、人間関係が複雑になることも影響していると考えられます。
中学生になると
- スクールカーストがはっきりする
- 友達グループや派閥ができる
- 先輩・後輩の上下関係がある
- 定期テストなど評価を意識する場面が増える
という環境のなかで生活することになります。
「変に目立てば、ハブかれるかもしれない」
「あの子と仲良くしたら、このグループにいられなくなるかもしれない」
など不安になることもあるでしょう。
これも発達課題が関係していると考えられますが、友達の評価を気にしながら過ごさなくてはいけない学校は、居心地が悪いですよね。
「嫌われるかも」と思うと何もできなくなってしまうよね
周りの目が気になる病気「社交不安症」とは
周りの目が気になって、不安が高まると、自分は病気なのではないかと心配になりますよね。
周りの目が気になるからといって、病気があるわけではありません。
ただ、“周りの目が気になる”という症状をもつ病気の一つに「社会不安症」というものがあります。
社交不安症は、人前に出るのが怖くて、他人と交流するときなどに強い不安を感じて、日常生活にも支障をきたすようになる病気です。
“周りの目が気になる≠社会不安症”だから心配しすぎないでね
社交不安症の種類と症状
社交不安症には次のような症状があります。
- 対人恐怖(人と接するのが怖い)
- スピーチ恐怖(人前で話すのが非常につらい)
- 電話恐怖(オフィスで電話に出られない)
- 視線恐怖(視線が気になる)
- 会食恐怖(人と一緒に食べるのが苦痛)
- 赤面恐怖(顔がすぐ真っ赤になる)
- 書痙・振戦恐怖(体が震える)
- 発汗恐怖(汗が気になってしかたがない)
- 腹鳴恐怖(おなかの音が鳴るのが心配)
- 排尿恐怖(人が近くにいると排尿できない)
- 自己臭恐怖(自分の臭いが気になってしかたがない)
これらの症状は、さまざまな不安や恐怖によるものです。
性格ややる気の問題ではないため、「気にするな」「もっと頑張れ」と言われても、どうしようもないのです。
周りに理解してもらえないとつらいよね
社交不安症セルフチェック
自分が社交不安症にあてはまるか気になる人は、セルフチェックをしてみてください。
診断基準(DSM-Ⅴ)をもとに社交不安症の特徴をみてみましょう。
自分の症状があてはまるか見てみてね
自分にあてはまる症状はありましたか?
あくまでセルフチェックですので、セルフチェックを通して「自分は社交不安症かもしれない」と思った人は、医療機関を受診してくださいね。
児童精神科や心療内科などで相談してみよう
社交不安症は治療で治る
社交不安症は、治療すれば治る病気です。
医療機関で行う治療法には次のようなものがあります。
- 認知行動療法
- 薬物療法
認知行動療法とは、自分のものごとの捉え方に気づき、それを修正していくことで、気持ちや行動を変えていく治療プログラムです。
薬の力を借りて、不安をやわらげるとともに、偏った認知を修正することで、「大丈夫だ」という気持ちを育てていきます。
詳しい治療方針については、受診先の医師と相談して決めてくださいね。
周りの目が気になる時の対処法
周りの目を気にして生活するのは苦しいですよね。
そんな苦痛から抜け出せるよう、今すぐ試せる対処法を3つ紹介します。
できることから試してみてね
安心できる距離で関わる
周りの人と安心できる距離で関わることで、不安がやわらぐことがあります。
例えば
- ひとりの時間を作る
- 友達との距離感を適度に保つ
ということを自分なりに工夫してみるとよいです。
人と一緒に過ごしていると、どうしても相手の反応が気になったり、周りに合わせることに疲れたりします。
そのため、「ひとりの時間」を大切にすることで、心を休めて回復することができます。
また、友達との距離が近すぎると、相手の調子に飲み込まれてしまうことがあります。
友達との間でも自分が安心できる距離感を意識し、「自分は自分」とある程度境界線を引くことが必要です。
とはいえ、一人でいるとネガティブ思考が働いてしまうという人もいると思います。
友達と距離をとったら嫌われるのではないか、と心配する人もいるでしょう。
そう感じる人は、別の方法を試してみてください。
信頼できる人に話す
自分が抱えている悩みについて、信頼できる人に話すことで、気持ちが楽になることがあります。
理解者が一人いるだけで、生活のしやすさは変わりますし、環境を変えることに協力してもらえるかもしれません。
また、「話す」という行為自体に、気持ちを楽にする効果もあります。
この効果を「カタルシス効果」と言いますが、詳しくはこちらの記事で説明しているので、読んでみてください▼
話すことが難しければ、まずは自分が落ち着ける場所を見つけるだけでもいいです。
学校の外の自分が安心していられる場所で、リラックスして過ごしてみてください。
そして、周りから見た自分ではなく、自分の中の自分と向き合ってみてください。
そうしているうちに、悩みを話せる相手も見つかるかもしれません。
専門機関に相談する
周りの目が気になって、どうしようもないのであれば、医療機関や相談所などの専門機関に相談しましょう。
一人で我慢する必要はありません。
「社交不安症」という病気が隠れている可能性もありますし、さまざまなストレスを専門機関で適切に対処してもらえば、症状がやわらぐはずですよ。
まとめ:周りの目が気になる程度に合わせて対処しよう
周りの目が気になる原因は
- HSPなど敏感な気質を持っているから
- 過去のトラウマ体験が影響しているから
- 家庭環境の影響で自信がもてていないから
- 中学生・高校生が「自分らしさ」を探る時期だから
といったことが考えられます。
また、「社交不安症」という病気が隠れている可能性もあります。
人との距離感を工夫して自分が安心できる環境を作りつつ、一人で抱え込まずに、信頼できる人や専門機関に話してみてください。
周りの目を気にできるあなたなら、話をきちんと聴いてくれる人も見極められるはずです。
どうか一人で悩まないでくださいね。
「相談できる人がいない」と悩んでいる人は、こちらの記事も読んでみてください▼
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