人に話をしても理解してもらえなかったり、自分の気持ちを分かってもらえないと悲しくなりますよね。
仲良くしている人がいたとしても寂しいし、独りぼっちな気がしてしまいます。
分かってほしいと思う自分を責めてしまう人もいるかもしれませんが、気持ちを受け止めてほしいと思う気持ちは自然なものです。
わかってもらえないと感じる理由を考えることで、対処法を導くことができます。
この記事では
- 「わかってほしい」と思うのは甘え?
- どうして自分の気持ちを分かってくれないの?
- 自分の気持ちをわかってもらうにはどうしたらいいの?
と悩んでいる人のために
を臨床心理士のあたるが分かりやすく説明します。
気持ちを分かってもらえるようになるよ
「わかってくれない」と感じる4つの理由
なんでわかってくれないの?
相手に自分の気持ちが分かってもらえない理由は、次の4つが考えられます。
それぞれ詳しくみてみましょう。
コミュニケーションのズレ
話した相手が理解を示そうとしてくれないと、「わかってくれない」と感じます。
たとえば
- 相手が話を真剣に聞いてくれずに鼻で笑われる
- 話している途中で遮られたり言葉を被せてきたりする
- 「あなたってこうよね」と決めつけられる
- 気持ちを汲み取るのが苦手で全然共感してくれない
という場合、「自分の気持ちをわかってくれない」と感じます。
これは自分と相手のコミュニケーションのズレによるものです。
どんな風に話を聞いて欲しいか伝えるなり、話す相手を変えるなりした方がよさそうですね。
伝わらない感じがモヤモヤするよね…
自分と他者との見方のギャップ
自分と他人は別な人間なので、考え方や見方に差があるものです。
しかしその差があまりに大きいと「わかってくれない」と感じます。
たとえば
- 本当の自分と友達が思っている自分の差が大きい
- 自分の気持ちを完全に理解して欲しいと思っている
という場合に、「自分のことをわかってくれない」と感じます。
友達が思っている自分が本当の自分とかけ離れていると、素も出しにくくなって、しんどくなります。
自分と他人とでは考え方に差はあれど、あまりにギャップが大きいと「わかってくれない」というモヤモヤに繋がります。
価値観や背景の違いによる壁
自分と相手の価値観や生活してきた環境などが違うと、話が合わず「わかってくれない」と感じます。
たとえば
- 友達は家族で外食に行っているけど、自分は家族で食卓を囲んだことがない
- 友達はお小遣いをたくさんもらっているけど、自分は1円ももらえてない
- 自分は友達との時間を大切にしたいのに、友達に「なんで恋人作らないの?」と言われた
など、価値観や過ごしてきた背景の違いで、「自分の気持ちをわかってくれない」と感じます。
同じ経験をしていない人に自分の経験や悩みを話しても、相手としてはいまいちピンとこないこともあります。
価値観は人それぞれですが、自分の価値観を否定されるように相手の価値観でものを言われると、孤独感を感じますよね。
同じ境遇の人であれば分かってくれるかも?
自分に自信がないことによる葛藤
自分に自信がなくて、「自分なんかダメだ」という気持ちが強いと、相手のことも信じられなくなります。
たとえば
- 相手に褒められてもその言葉は信じられない
- 自分が思っていることを素直に伝えられない
という気持ちになり、わかってもらう機会も失ってしまいます。
これは、小さい頃から親や周りの大人に認めてもらう経験が少なかったことが影響している場合があります。
ずっと我慢してきたんですね。
親の期待に応えて頑張ってきたんですね。
話してもわかってもらえない、話すら聞いてもらえないという経験は、わかってもらおうとする気持ちを失わせます。
そして、「どうせ誰も自分のことなんかわかってくれない」という気持ちになっています。
なぜ「わかってほしい」と思うのか?
誰かに自分の気持ちをわかってほしいと思うことは、自然なことです。
人は「受け入れられたい」「受け止めてほしい」という気持ちがあるからです。
自分の気持ちをわかってほしいと思う背景には
- 人間には社会的欲求として、受け入れられたい気持ちがある
- 自分の感情が受け止められることで、頭の中が整理できる
というものがあります。
社会的欲求として受け入れられたい気持ちがある
人間は「受け入れられたい」という欲求を抱く生き物です。
生きていくうえで、私たちはいろいろな欲求がでてきます。
- 食べたい、眠りたいなどの本能的な欲求
- 安心して安全に暮らしたいという欲求
- 友達や家族、社会から受け入れられたいという欲求
- 他の人から認められたいという欲求
- あるべき自分になりたいという欲求
これらの欲求を心理学者のマズローは「欲求5段階説」として提唱しました。
3番目にある、友達や家族、社会から受け入れられたいという欲求には社会的欲求という名前がついています。
この社会的欲求があるから、「わかってほしい」と思うのです。
わかってもらえないと、受け入れてもらえていないように感じませんか?
受け入れてもらいたいと思うのが人間の自然な心理です。
だから、「わかってほしい」と思うことは甘えではありません。
わかってほしいと思うことは自然なことなんだよ
気持ちを受け止めてもらうことで感情と言葉が繋がる
自分が思っていることや感じていることを、否定されるとモヤモヤしますよね。
それは、気持ちを受け止めてもらうことで、感情と言葉が繋がって、頭の中の整理ができるからです。
気持ちを受け止めてもらう、つまり共感されることは、特に子どもの頃に大切なことでもあります。
例えば
小さな男の子が派手に転びました。
男の子は「痛い」と思っているはず。
でも、隣にいたお母さんは「痛くない!」と言いました。
男の子は泣くのをこらえて立ち上がりました。
というシーンを考えてみてください。
「痛い」と思っているところで「痛くない」がインプットされると、頭の中はどうなると思いますか?
感情と言葉がうまく結びつかず、混乱してしまいます。
そして、自分の気持ちが言語化できなくなったり、感情のラベリングが不自然になったりします。
この例は極端ですが、同じように自分の気持ちを受け止めてもらうことで、頭の中の整理ができたり心がスッキリしたりするのです。
だから、受け止めてもらえないときは、感情をストレートに出せず、抑えつけた感情が心の中でモヤモヤと残ってしまいます。
気持ちを分かってもらえたら、スッキリすることも多いよね
自分の気持ちをわかってもらうための対処法
「自分の気持ちをわかってくれない」と感じる時は、次の対処法を試してみてください。
気持ちを分かってくれる相手に話す
自分の気持ちを分かってもらうには、話す相手を選ぶという方法があります。
- 相手の気持ちを汲むのが得意な人
- 同じような境遇を経験している人
など、気持ちを受け止めてくれそうな人に話すということです。
身近な友達や家族、学校の先生は誰も自分のことをわかってくれない…と思うのであれば、スクールカウンセラーや心の相談室などの専門家に話してみるのもよいです。
相談場所を探したいという人は、こちらの記事に詳しく書いてあるので、参考にしてみてください▼
自分の気持ちを言葉にして伝える
話す相手を選ぶこと以上に大事なのが、自分の気持ちをしっかり言葉にして伝えるということです。
- だいたいの説明で分かってくれるだろう
- 私の態度で察してくれるだろう
相手に分かってもらおうとするのではなく、言葉にできることは自分から話してみてください。
察してもらう方がわかってもらえた感じがするように思うかもしれません。
でも、意外とそんなことはないのです。
精神科医のバーンは、人が生きていくためには「他者から触れてもらいたい欲求」「認めてもらいたい欲求」を満たす必要があるといいました。
そして、その欲求を満たすものはストロークという、他者からの言葉や視線、表情、スキンシップです。
ストロークが欠乏すると、人は脊髄が縮んでしまうのさ
人それぞれ、その時々で欲しいストロークは違って、自分が欲しいストロークを受け取ることで、より健康で安定した状態でいられます。
たとえば
「(髪の毛を染めたから、親友のあの子なら気づいて似合うって言ってくれるよね…)」
と思って、相手から言われるのを待って、結局言われない
つまりストロークをもらえないよりも
「髪の毛染めたんだよ!似合うかな?」
と自分から言って、欲しいストロークをもらう方が健康的ということです。
仮に親友が気づいてくれた場合と比べても、同じだけ心は満たされるのです。
だから、言葉にできることはできるだけ自分から伝えてみてください。
ゆっくりでいいから言葉にしてみよう
我慢してきた自分の心の傷の手当をする
「誰もわかってくれない」と思うと、わかってくれない相手に腹が立つと思います。
同時に、自分の心も寂しくて孤独で傷つきを感じています。
まずは自分の心の傷に向き合い、手当してあげる必要があります。
親にされて嫌だったことはありますか?
辛い出来事を話さないでいるのは、自分の心を守るためでもあります。
ただ、辛い気持ちを言葉にして手放してあげることで、今までより生きやすくなります。
親との関係に悩んでいる人はこちらの記事を読んでみてください▼
また、「アダルトチルドレン」という概念が、心の傷の理解に役立つこともあります。
アダルトチルドレンとは、機能不全家族で育って大人になった人のことを指す言葉です。
子どもの頃に「子ども」でいられなかった感覚はありますか?
大人の顔色をうかがって頑張っていませんか?
アダルトチルドレンについては、こちらの記事に詳しく書いてあるので、読んでみてください▼
まとめ:自分の気持ちを受け止めてくれる人に話をしよう
分かってほしいと思うことは、友達や家族に受け入れてもらいたいという自然な欲求です。
完全に理解してもらうことは難しいですが、気持ちを受け止めてくれる人に、自分の気持ちを言葉にして伝えてみましょう。
もし身近に「分かってほしい」が満たせる場所がない場合は、当ブログの筆者が運営するバーチャル談話室に、話に来てみてください。
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