アダルトチルドレンとは、機能不全家族で育って大人になった人のことですが、アダルトチルドレンには子ども時代からその家族で担ってきた役割があります。
役割はそれぞれ
- ヒーロー(責任を負う子)
- ロスト・チャイルド(忘れられた子)
- プラケイター(なだめ役)
- スケープゴート(問題児)
- ピエロ(おどけ役)
- ケアテイカー(世話役)
- イネイブラー(支え役)
と呼ばれています。
アダルトチルドレンと一括りに言っても、いろいろなタイプがあるのです。
このタイプは、便宜上7つに分けられていますが、細分化すればもっと多いし、あてはまるものが一つとは限りません。
タイプがあると知ると
- アダルトチルドレンのタイプにはどんな特徴があるの?
- 自分はどのタイプにあてはまる?
- タイプごとに似ているものもあって分かりにくい…
という疑問が湧きますよね。
そこでこの記事では
について、臨床心理士のあたるが分かりやすく説明します。
人間関係でつまずく理由が分かるよ
アダルトチルドレンの意味や特徴、回復の方法については、こちらの記事にまとめているので、参考にしてください▼
≫【完全版】アダルトチルドレンとは?原因・特徴・治療法を専門家がまとめて解説
アダルトチルドレンの4つの役割
7つのタイプのうち4つを先に説明するよ
アダルトチルドレンの役割をインターネットで調べると、サイトによって異なる役割を挙げています。
これは、専門家によって名づけ方が違うからです。
この記事では、まず「アダルトチルドレン」概念の生みの親クラウディア・ブラックが著書『子どもを生きればおとなになれる』で挙げている、4つの役割について紹介します。
その他の役割については、あとで紹介するので、気になる人は最後まで読んでみてください。
ヒーロー(責任を負う子)
ヒーローはいわゆる優等生です。
- しっかりしている
- 物事に一生懸命
- 成績がよくて優秀
という特徴があります。
子どもの頃から家族の責任を負って、自分で管理しようとしてきました。
そのため、大人になっても責任感が強く、なんでも自分で管理しようとします。
人に指図されるとか嫌だ
自分で管理しないと予測不能な生活だったもんね
ヒーロータイプが苦手なこととしては
- 助けを求められない
- 遊ぶことが苦手
ということが挙げられます。
アダルトチルドレン13の特徴にも重なる部分がありますね。
アダルトチルドレンの特徴については、こちらの記事で紹介しています▼
≫アダルトチルドレン13の特徴|ACリストで生きづらさの原因をセルフチェック
ロスト・チャイルド(忘れられた子)
忘れられた子は、家族の問題から距離をおくことで自分を守っています。
自分から何かを要求することはなく、受身の役割を担います。
特徴としては
- 融通性、柔軟性がある
- 適応能力があり、周囲に従うことができる
という強みがある反面
- 決断するのが苦手で、誰かに決めて欲しい
- 人となかなか打ち解けない
という弱みがあります。
気配がないって言われるわ
目立たないようにして身を守ってきたんだね
無視されたいわけではないのですが、自分の殻にとじこもることで自分を守ってきたのです。
プラケイター(なだめ役)
なだめ役は、家族のお世話役といえます。
家族を平和に保つために、親の気持ちを汲んで、親がして欲しいことに応えます。
そのため
- 他人の状況に敏感
- 暖かい思いやりがある
という特徴があります。
周囲に優しくしようとしますが、自分のことからは目を逸らすので
- 自分の気持ちに目を向けられない
- 自分の欲求に焦点をあてるのが難しい
という弱点があります。
人に優しいって良いことな気がするけど?
困った時に人を頼れなかったり、気持ちに蓋をすることが問題になるんだよ
スケープゴート(問題児)
問題児は、「スケープゴート」や「いけにえ」ともいわれます。
家族の本当の問題から目をそらすために、トラブルを引き起こす役割を担っています。
悪いことをして注目を浴びようとするのです。
悪いことというのは
- アルコールや薬物の乱用
- 学校で先生に反抗して教室をめちゃくちゃにする
- 先輩に挑発的に突っかかって喧嘩をする
というようなことです。
病院沙汰になったり、警察にお世話になることもあります。
悪い意味で注目されるって辛くない?
関心を持たれないよりマシだと感じるもんなんだよ
問題児にも
- 自分の気持ちに正直
- リーダーシップをとれる
といった強みがあります。
それに、トラブルは社会的には良いこととはされませんが、機能不全家族のなかで生き延びるために必要だった役割なのです。
アダルトチルドレンのその他の3つのタイプ
クラウディア・ブラックが挙げている4つの役割以外には、次のような役割があります。
それぞれの特徴は、ヒーロー・なだめ役・問題児に似たものを持っています。
ピエロ(おどけ役)
道化師とも呼ばれます。
家族や周りが険悪な雰囲気になると、場を和ませようとおどけてみせます。
明るくて面白いので、学校で人気者になれますが、本人は心から楽しんでおらず「誰にも自分の本当の気持ちは分からない。」と思っています。
ピエロ役には
- 場の緊張感が高まると冗談を言っておどけてみせる
- いつも明るく振る舞っている
- 沈黙が怖い
- 人に嫌われることが極端に恐れている
という特徴があります。
ケアテイカー(世話役)
ケアテイカーは、家族や周りの役に立とうと、気を利かせてお世話をします。
家族を助けようと気を遣ってきたところは、なだめ役にも似ています。
- 困っている人を見ると放っておけない
- お世話をしたのに認めてもらえないと、不安や怒りを感じる
といった特徴があります。
イネイブラー(支え役)
イネイブラーは、頼りない両親や小さな弟妹の力になろうと、自分を犠牲にしてでも支えます。
自分のことから目をそらす点は、なだめ役にも近い部分があります。
- 相手の言いなりになってしまう
- 不都合なことも断れない
- 「自分が支えてあげなくては」と思う
というような特徴があります。
いろいろな呼び名があるんだね
ここに挙げた以外の名づけをしている人もいるけど、だいたい最初の4つに集約されるよ
アダルトチルドレンは自分を守るために役割を演じる
なぜ役割が必要なの?
機能不全家族は、いつ何が起きるか分からない環境です。
そのなかで生きのびるためには、子どもなりに安全でいられる方法を手に入れる必要がありました。
少しでも安全に生きるための方法というのが、役割を演じるということだったのです。
役割を演じることが生きるすべだったんだね
例えば
- 親のニーズに頑張って応える
- 自分が問題を起こすことで家族の問題から目を逸らす
という働きにより、家族のなかでの自分を守っています。
こうして子どもの頃から担ってきた役割は、大人になると
- 人を頼ることができない
- 社会的なトラブルを起こすようになる
といった問題に繋がっていきます。
子どもの頃にはメリットが多かった役割ですが、大人になるとデメリットになってしまうのです。
子どもの頃に担った役割を手放す方法
子どもの頃は、機能不全家族を生き抜くために必要だった役割ですが、大人になるとその役割を演じる必要がなくなります。
ただ、長年演じてきた役割をすぐに捨てることは難しいです。
無意識に自分に染みついているものです。
その役割で身を守ってきたんだもんね
そのため、まるっきり別人になる必要はありません。
- 強みはそのまま持っておく
- 役割について回る誤った信念を書きかえる
- 足りないスキルを伸ばしていく
という3つのことを意識して、役割に縛られない自分を生き始めればいいのです。
これらの方法については、アダルトチルドレンからの回復の記事で詳しく書いています。
≫アダルトチルドレン回復のためのステップ|7つの実践的ガイドをわかりやすく解説
アダルトチルドレンのタイプ診断
タイプの特徴が分かると、なんとなく自分が演じている役割がみえてきます。
もちろん、いくつかのタイプにあてはまるという人もいるでしょう。
いくつかの役割を使い分けながら生きていることがほとんどですので、あてはまるタイプが一つである必要はありません。
それぞれのタイプのどういう特徴が自分にあてはまるかを見ていくことが、回復のステップでも役に立ちます。
結局自分はどのタイプなんだろう?
タイプ診断をしてみるのもいいね
自分がどのタイプなのかがよく分からなかった人は、タイプ診断をしてみるとよいです。
アダルトチルドレン専門のカウンセリングルーム「メンタル心理そらくも」さんが、チェックリストを公開しています。
誰でも無料でできるので、試してみてください。
まとめ:アダルトチルドレンのタイプを知ることが役割を手放す第一歩
アダルトチルドレンには、7つのタイプがあります。
- ヒーロー(責任を負う子)
- ロスト・チャイルド(忘れられた子)
- プラケイター(なだめ役)
- スケープゴート(問題児)
- ピエロ(おどけ役)
- ケアテイカー(世話役)
- イネイブラー(支え役)
それぞれの特徴を知ることは、アダルトチルドレン回復のヒントになります。
自分の演じてきた役割がなんとなく分かったら、次は回復ステップについての記事も読んでみてくださいね。
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