アダルトチルドレンとは、機能不全家族で育って大人になった人のことを言います。
「アダルトチルドレン」という言葉を知ると、自分に当てはまるのか気になりますよね。
アダルトチルドレンには、自分を否定することや、友達や恋人との関係がうまく築けないことなど、いくつかの特徴があります。
これらの特徴は、私たちが生きづらく感じる原因になります。
この記事では
- アダルトチルドレンはどんな特徴があるの?
- 自分はアダルトチルドレンなの?
- この症状はアダルトチルドレンが原因なの?
という疑問を抱いている人のために
について臨床心理士のあたるが、分かりやすく説明します。
生きやすさのヒントが見つかるよ
特徴についてはいいから、今すぐチェックリストを教えて欲しいという人は、こちらから該当記事に飛んでください▼
また、アダルトチルドレンの意味や機能不全家族については、こちらの記事で解説しているので参考にしてください。
≫【完全版】アダルトチルドレンとは?原因・特徴・治療法を専門家がまとめて解説
アダルトチルドレンの13の特徴
アダルトチルドレンの特徴をインターネットで調べると、サイトによって違う項目がでてきますよね。
この違いは、立場や使う言葉による差だと考えられます。
今回紹介する13の特徴は、教育学者のジャネット・G・ウォイティッツが述べているものです。
- 教育学者
- アルコール依存症者の妻
- アルコール依存症の親を持つ子どもの教育に携わる
- アルコール問題の影響を受けている人の治療に携わる
ウォイティッツ自身、アルコール家族が受ける影響を感じながら生きてきており、機能不全家族で悩む人に寄り添った内容の特徴が挙げられています。
ウォイティッツが示したアダルトチルドレンの特徴は、次の13個です。
引用元:アダルト・チルドレン|ジャネット・G・ウォイティッツ著
- アダルト・チルドレンは何が正常かを推測する。
- アダルト・チルドレンは物事を最初から最後までやり遂げることが困難である。
- アダルト・チルドレンは本当のことを言ったほうが楽なときでも嘘をつく。
- アダルト・チルドレンは情け容赦なく自分に批判を下す。
- アダルト・チルドレンは楽しむことがなかなかできない。
- アダルト・チルドレンは真面目すぎる。
- アダルト・チルドレンは人と親密な関係を築きにくい。
- アダルト・チルドレンは自分がコントロールできない変化に過剰反応する。
- アダルト・チルドレンは他人からの肯定や承認を常に求める。
- アダルト・チルドレンは自分は他の人たちと違っていると感じる。
- アダルト・チルドレンは責任をとりすぎるか、責任をとらなすぎるかどちらかである。
- アダルト・チルドレンは過剰に忠実で、たとえ無価値な人間関係であってもそれにしがみつく。
- アダルト・チルドレンは衝動的である。他の行動が可能であると考えずに一つの行動に突っ走る。そのため、混乱、コントロールの喪失、自己嫌悪を招きやすい。その上、不祥事の後始末に過大なエネルギーを使う。
それぞれ詳しくみていきましょう。
分かりづらい言葉もあるけど、一つずつ解説するから安心してね
何が正常かを推測する
アダルトチルドレンは、いつも「何が普通なのか」「どう感じるのが正常なのか」を考えて行動しています。
それは、機能不全家族では「普通」を体験できないけれど、家の外では「普通」に振る舞おうとするからです。
友達に家のことバレたくないからな
例えば、みんなが面白そうにしていれば一緒に笑い、ダルそうにしていれば自分もつまらない態度をとります。
小さい頃から親の顔色をうかがって、自分の感情を抑え込み、「普通」とは違う振る舞いをする必要がありました。
だから、「普通」の家がどういう生活を送っているのか、「普通」はどういう感情を抱くのかが分からなくなります。
でも、友達に自分の家のことは隠していたいし、自分がおかしいとは思われたくありません。
そのため「普通」を推測して行動するのです。
周りにどう思われるかばかり気にしてない?
物事を最初から最後までやり遂げることが困難である
アダルトチルドレンは、大量の情報を整理してまとめるなど、ひとつのことを最初から最後までやり抜くことが苦手です。
それは、機能不全家族では何か問題が起きても、親が解決して見せたり、子どもと一緒に解決しようとしたりすることが、ほとんどなかったからです。
例えば、レポート課題が出ても何から手を付けていいか分からず、自分一人でレポートを完成させることができません。
やり方が分からん
小さい頃、家の壁紙がボロボロになっても、親が張り替える姿を見ることはありませんでした。
困ったときに、親と一緒に考えて解決する経験もできませんでした。
そのため、解決方法や考え方を学ぶ機会がなく、自分で問題をどう処理したらいいか分からないのです。
膨大な問題が一気にのしかかる感じになるよね
本当のことを言ったほうが楽なときでも嘘をつく
アダルトチルドレンは、嘘をつくことが癖になっています。
それは、機能不全家族に家の問題を隠そうとする風潮があり、嘘をついた時のメリットの方が多かったからです。
本当のこと言っても信じてくれないしな
例えば、やりたくない授業は仮病で休み、痛々しいアザを作っても「全然大丈夫」と答えます。
家では親がしょっちゅう嘘をついたり、約束を破ったりするので、嘘は当たり前のものになっています。
また、親に聞かれたことに正直に答えると、文句を言われるので、嘘で自分を守るようになります。
さらに、本当のことを言っても信じてもらえないこともあります。
母親「その怪我どうしたの?」
子ども「A君にぶたれた」
母親「A君がそんなことするわけないでしょ。またあんたが悪いことしたんじゃない?」
嘘をついていないのに信じてもらえないと、もはや本当のことを言う意味が分からなくなります。
家で身につけた嘘をつく癖は、家の外でもつい出てしまいます。
そのため、本当のことを言ったほうがいいと分かっているときでも、嘘をついてしまうのです。
嘘ついて後悔することもあるよね
情け容赦なく自分に批判を下す
アダルトチルドレンは、「自分はダメだ」と否定的な自己イメージを持っています。
自分に価値なんてないと思うわ
それは、機能不全家族のなかで、親から否定され続けたせいです。
言葉でなく態度で否定されたり、親に認めてもらえないということでも、否定的な自己イメージは育っていきます。
そのため、明らかに相手が悪い時でも「自分が悪かった」と自分のせいにします。
例えば、友達に裏切られたら「自分のせいだ」と思います。
テストで90点だったら、100点を取れなかった自分を責めます。
否定的な自己イメージで育ってきたために、自分を否定している方が落ち着くのです。
自分を責めてネガティブ思考になってない?
楽しむことがなかなかできない
アダルトチルドレンは、自由に遊んだり好きなことを楽しんだりすることが苦手です。
それは、機能不全家族のなかで、「子どもらしさ」を抑圧する必要があったからです。
この世に楽しいことなんてあんの?
例えば、友達が「楽しかった!」と笑うのを見て、冷めた心を隠しながら「楽しかったね」と愛想笑いをします。
子どもっぽい遊びや、誰かがふざけているのを見て、ばかばかしいと思います。
子どもの頃から、親の代わりに家事をしたり兄弟の世話をしたりしないといけない環境は、「子ども」でいられる時間を奪います。
思いっきり遊んだり自由に感情表現することを親に許されなければ、家で心から楽しむことはできません。
家族の中で出せなくなった「子どもらしさ」は、心の奥の方に隠れてしまい、楽しむことができなくなったのです。
最近楽しいと思えたことはあった?
真面目すぎる
アダルトチルドレンは、真面目すぎるという特徴があります。
この特徴は「楽しむことがなかなかできない」という特徴と似ています。
真面目だから楽しめないのか
例えば、バイトが終わる時間を過ぎても、一生懸命働き続けます。
何でも正しく間違えないようにと、神経質なくらい自分に完璧を求めます。
親の高すぎる期待や、非現実的な要求に応えようとした結果、楽しむこともできないくらい真面目すぎる性格になったのです。
「真面目だね」って言われない?
人と親密な関係を築きにくい
アダルトチルドレンは、恋人や夫婦関係などの親密な人間関係を築きにくいです。
機能不全家族では、両親の不仲や共依存的な関係を見て育つため、健全な関係の築き方が分からなくなっているのです。
例えば、とても優しい彼氏ができても、この関係がいつまで続くのかと不安になり、自分から別れを告げます。
ずっと片想いしていた彼に告白された途端、気持ちが冷めることもあります。
たしかに彼氏と長続きしないわ
小さい頃に、親から「こっちにおいで」と言われながら「あっちに行け」と見放された記憶は、親密な関係を築こうとした時に不安を掻き立てます。
大好きな優しい彼氏の前でも、安心していられません。
そのため、恋人との関係はうまくいかないことが多いのです。
恋愛関係のことで悩んでない?
自分がコントロールできない変化に過剰反応する
アダルトチルドレンは、急な予定変更や他人に何でも決められてしまうことに、過剰に抵抗したり怒ったりします。
勝手に変更されるとイラっとする
それは、親の暴力やヒステリーなど、いつ何が起こるか分からない環境で生き抜くために、何とか自分でコントロールしようとしてきたからです。
例えば、友達と映画に行く予定が急に遊園地に変更になると、「絶対イヤ!」と怒ります。
学校や職場で、勝手に自分の役割を決められて「そんなの私には無理!」と取り乱します。
機能不全家族では、自分がコントロールできない状況で、自分の命を脅かされる経験をすることがあります。
その恐怖が、自分が取り仕切っていない場面や急な変更に、過剰反応させるのです。
条件反射だから、なぜそんなに怒ったのか自分でも分からないよね
他人からの肯定や承認を常に求める
アダルトチルドレンは、褒められたり認められたりしても、素直に受け取ることができません。
それは、親から否定的なメッセージを受け取り続けて、否定的な自己イメージを持っているからです。
承認を求めるけど拒否するってことか
例えば、学校や職場の先輩に「よくやってるね」と褒められると、何か裏があるのではないかと思います。
友達に「あなたがいてくれてよかった」と言われると、素直に受け入れられず引いてしまいます。
肯定されたい、承認してほしいという欲求は、誰でも持っているものです。
しかし、小さい頃から否定的なメッセージばかり受け取っていると、否定的な自己イメージができあがります。
そのため、いざ肯定的なメッセージを差し出されると、自分が持っている否定的な自己イメージと矛盾するので、受け入れられません。
その結果、欲しいはずの肯定や承認を受け取ることができず、常に求め続けるということになるのです。
認めてもらっても自分で否定してない?
自分は他の人たちと違っていると感じる
アダルトチルドレンは、孤立感があり、いつも「自分だけ違う」と感じています。
それは、家の心配や緊張のせいで、友達にも他人にも気を許せず、馴染めなかったからです。
友達といても心ここにあらずだわ
例えば、自分の大事なものを友達にあげることで仲良くなろうとします。
恋人には威圧感のある人や依存症を抱えている人など、極端なタイプを選びがちです。
「自分は他の人と違う」という感覚が、誰からも相手にしてもらえないと思わせるのです。
だから、物をあげることで仲良くしようとしたり、自分でも付き合ってもらえそうな相手を選んだりします。
人との関係がうまく築けなくて悩んでない?
責任をとりすぎるか、責任をとらなすぎるかどちらかである
アダルトチルドレンは、「ノー」と言うことができずに仕事をすべて引き受けます。もしくは、すべて投げ出します。
頼まれると断れないわ
それは、小さい頃から親のために何でも頑張ってきたからです。そして、どんなに頑張っても認められないと気づいたからです。
例えば、バイト先で仕事を頼まれれば、どんなに大変でも「できます」「もっとやれます」と答えます。
頑張りすぎて、心も体も限界になり、何もできなくなってしまいます。
自分がどのくらいの仕事量をこなせるかが、分からないのです。
また、断ることで「できない」と思われるのが恐いので、「ノー」と言うことができません。
そのため、すべてを引き受けて責任をとりすぎてしまいます。
全部引き受けなきゃと思ってない?
過剰に忠実で、たとえ無価値な人間関係であってもそれにしがみつく
アダルトチルドレンは、一度作った友達や恋人との関係にしがみつき、たとえ相手が乱暴したとしても、相手から離れられません。
それは、人間関係を築くのが苦手で、劣っている自分にとって、友達や恋人が貴重な存在だと思っているからです。
友達作るの苦手だから失いたくないよ
例えば、家の事情を話した友達に冷たい態度をとられても、友達との関係を維持します。
恋人に暴力を振るわれても「悪いのは自分だ」と思い込んで、関係を解消しません。
親から見放されることは、小さな子どもにとって恐怖です。
だから、見捨てられないように親の期待に応え、尽くしてきました。
そして、友達や恋人からも、嫌われることが不安で、独りぼっちになることが恐くて、相手に尽くすようになったのです。
「そんな彼氏別れなよ」って言われることない?
衝動的で突っ走ってコントロールを失い自己嫌悪を招きやすい
アダルトチルドレンは、自分でもコントロールできないまま衝動的に行動し、相手を傷つけたり間違った判断をしたりして自己嫌悪に陥ります。
それは、予測不能な家庭環境で、危険が迫るなか緊張しながら生き抜いてきたからです。「何をしたらどうなるか」という因果関係が理解しにくい環境だったし、今すぐ行動しないと危ないという感覚があったのです。
「あとで」の約束は破られてきたからな
例えば、お金が必要なのに、突然バイトを辞めます。
よく知らない相手と、すぐに付き合い始めます。
やってはいけないことだと分かっていても、悪い結果に向かって突っ走り、自分でも止めることができません。
だから、あとになって後悔し、自分に腹が立つのです。
悪い方向に転がり落ちてくことない?
アダルトチルドレンチェックリスト
結局自分はアダルトチルドレンなの?
アダルトチルドレンの13の特徴のなかには、当てはまるもの、当てはまらないもの、よく分からないものがあったと思います。
13個の項目は、アダルトチルドレンであればすべての特徴に当てはまるというわけではありません。
もし、自分がアダルトチルドレンに当てはまるか知りたいのであれば、チェックリストを使うとよいです。
インターネットで調べると、いくつかのアダルトチルドレンチェックリストが出てきますが、そのなかでも
- 科学論文に掲載された「アダルトチルドレン尺度」
- 心理カウンセリングの症例
に基づいて作られた、信頼して利用できるリストが、アダルトチルドレン専門カウンセリングルーム「メンタル心理そらくも」さんのサイトです。
このチェックリストは、アダルトチルドレンかどうかを診断するものではありませんが、自分の生きづらさの原因がアダルトチルドレンにあるかをセルフチェックできます。
誰でも無料で利用できるので、一度試してみてください。
まとめ:アダルトチルドレンの特徴を知ると生きやすさが見つかる
アダルトチルドレンには
- 何が正常かを推測する
- 物事を最初から最後までやり遂げることが困難
- 本当のことを言ったほうが楽なときでも嘘をつく
- 情け容赦なく自分に批判を下す
- 楽しむことがなかなかできない
- 真面目すぎる
- 人と親密な関係を築きにくい
- 自分がコントロールできない変化に過剰反応する
- 他人からの肯定や承認を常に求める
- 自分は他の人たちと違っていると感じる
- 責任をとりすぎるか、責任をとらなすぎるかどちらかである
- 過剰に忠実で、たとえ無価値な人間関係であってもそれにしがみつく
- 衝動的で突っ走ってコントロールを失い自己嫌悪を招きやすい
という特徴があります。
特徴を知ることで、自分の生きづらさがアダルトチルドレンにあるのかが分かり、生きやすさを見つけるヒントになります。
さらに、アダルトチルドレンのなかでも、自分はどのタイプなのかを知ることが、生きづらさを解消するための回復に繋がるので、こちらの記事も読んでみてください▼
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